清想空

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open05.04.12
もう一度会えたら、その後に エピローグ
「あら、光琉くん」
メール着信に気が付いた麻子<あさこ>は手にしていたカップを置いて、傍らに置いていたスマートフォンを手に取った。
送り主が光琉だったので早速内容を確認する。
「……うーん?」
送られてきた文面に目を通して麻子は首を傾げた。
「光琉なんだって?」
そんな妻の様子を不審に思ったのか、離れていたところで作業をしていた竜琉<たつる>が声をかけてくる。どうやら竜琉は竜琉で光琉のその後が気になっているらしい。
そりゃまあ、そうよね。
麻子だって今光琉がどうしているのかが気になったから、近況報告がてら様子伺いのメールを送ったのだ。
『ところで光琉くんの方はその後、例の彼とはどうなったの?』
それに対する返事が今来たメールなのだけれど。
『なんというか、なるようになりました。ちょっと大変ですが、それなりにうまくやってます。』
色々と突っ込みたいところはあるけれど、麻子はとりあえず竜琉には大雑把に説明することに決めた。
「例の彼とも大丈夫そう。元気でやってるって」
「そうか」
もとがおおらかな性格だからなのか、竜琉は麻子の答えに疑問は抱かずに納得したらしい。そのまま作業に戻る竜琉を見てから、麻子はもう一度スマートフォンの画面に目を落とした。
それにしても、これは本当に大丈夫なの?
『なるようになった』
『ちょっと大変』
『それなりにうまくやっている』
そのどれもがなんとなく心配になる言葉に思えてならない。
なんていうか光琉くんて警戒心強そうな割に、簡単に丸め込まれちゃいそうなのよね。相手の子に騙されてなきゃいいんだけど……。
「うーん」
……さすがに考えすぎか。まだ何の根拠もない状態だし、大騒ぎするほどのことでもないよね。
麻子はため息をついて頭を切り替えた。
なにぶんつい先月に夫となった男はこういうことには鋭すぎる人間なのだ。勘付かれたら徹底的に調べるなどと言い出しかねない。
やると言ったらやる竜琉の行動力と人脈は馬鹿にできない。ここはまだ伏せておくのが吉というものだ。
決めた麻子は手早くスマートフォンを操作して、ひとまず吉報に安心したとしたためて再度メールを送った。
ま、これで一応の一件落着よね。
少しして返ってきた返礼のメールを確認して、麻子は一つ頷いた。
「まあ、お幸せにどうぞってことで」
そう呟いた顔には安堵の表情が浮かんでいた。